kの備忘録

備忘録的な何かです

消毒用アルコールを合法的に自作する

某サイトに投稿した文章を再編集したものになります。

5月5日時点で、いまだ十分な流通量が確保されていない状況ですので…

何かのお役に立てれば幸いです。

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ついに世界レベルの疫病と化した武漢肺炎の影響で、国内では様々な物資…特に医療品関係で複数入手困難なものが発生していますね。
マスクや消毒用アルコールが手に入らなくて困っている方も多いでしょう。
かくいう私も、家庭や職場での消毒手段の確保が難しく頭を悩ませておりました。
有志の方々の努力によりマスクについては自作の道が開けてきましたが、問題はアルコールのほうではないでしょうか。

そもそも消毒用アルコールとは、濃度80%程度のエタノール水溶液のこと。
この濃度を獲得するために市販の酒を蒸留すれば…少しの知識と簡単な道具を組みあげることにより、作るだけなら容易に作れるわけですが…この「蒸留」という手段を達成するには「酒税法」「アルコール事業法」という2つの法律の壁が立ちはだかります。
「勝手に作ったら密造酒扱いになって逮捕される」と危惧される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ところがこれを、ちゃんと関係機関に相談して法的問題をクリアする方法を公開してくれた方が現れました。

https://mbp-japan.com/hyogo/komorebipharmacy/column/5048531/

こちらのコラムに記された注意点を踏まえつつ、市販の酒から消毒用アルコールの代用品を精製してみましょう。

○手順1:簡易蒸留器の作成
堅苦しく考えなくても、簡単な蒸留器なら誰でも作れます。
材料は…ホームセンターで売っている圧力鍋とアルミパイプ(理想は銅管)に100均で買ってきたホースや容器、シリコン補修材など。
手で曲げたパイプを、穴を開けた容器とホースに挿して補修材で継ぎ目を塞ぎ、圧力鍋に繋いだだけの簡単構造!
日曜大工以下の技術と材料費で出来上がります。
実際に作ったものがこちら。

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家に圧力鍋があるなら、それを使うことで予算1000円以内で出来上がります。
通販サイトで売っているような高価な蒸留器や理科の実験器具を買う必要はありません。

○手順2:原料の調達
ベースとなるお酒は普通に市販されてる焼酎程度の安酒でOK。
コンビニで売ってるお酒で十分ですが、ビールなどの発泡酒は噴きだす泡の処理などで色々と残念な結果に終わる可能性が高いので避けたほうがいいと思います。
あとは今回の肝となる薬液「IPA」を入手します。
これは工業用途などで使用されるアルコールで、酒税法をクリアするために必要です。
自動車のガソリンタンクに入れる水抜き剤などがIPA99%だったりするので、ホームセンターやカー用品店で簡単かつ安価に入手出来ます。
量もほんの少しでいいので、何リットル作る予定であっても一番小さな容器のものを買ってくれば間に合います。

○手順3:蒸留
簡易蒸留器の冷却容器に氷を入れて水を注ぎ十分に冷やしておきます。
次に圧力鍋の中にお酒を注ぎます。量の目安としては、今回私が用意した圧力鍋が3Lサイズなのですが、最大で1Lまでとしました。
これには理由がありまして、お酒だけを火にかけると突然吹きこぼれて(突沸という現象)蒸気が出ずに失敗することがあるからです。
鍋の底に素焼きの陶器を割ったかけら等を入れれば防げますが、お酒の量が多すぎると防ぎ切れません。
一度に入れるお酒の量は、使用する鍋の最大容量の半分までにしておくほうが良いと思います。
そして鍋のお酒にIPAをほんの1滴垂らします。これで酒税法クリア。
あとは蓋をして弱火でゆっくり加熱するだけです。
※ IHコンロをお持ちの方はIHでやったほうが火加減が細かく調整できるのでオススメです。

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 鍋に入れたお酒の半分程度の量まで液が貯まったら、そこで蒸留1回分の工程は完了だと思っていいでしょう。
神経質にならずに大雑把にやるのがポイントです。
使用するお酒の濃度にもよりますが、度数の低いお酒を使っても2回蒸留すれば手の消毒に使えるレベルに近づきます。
厳密に80%にする必要はありません。むしろ濃くなり過ぎないよう雑に作るのがいいと思います。水を足してわざと薄めてもいいぐらいです。
あえて雑にするのはアルコール事業法に引っかかるような濃度になってしまうことを回避するためです。
蒸留は2回まで。目分量&なんとなく程度の雑な作り方で違法化を回避しましょう。
あくまで代用品ですから市販品と同じ能力を求めない方向で。
どうしても厳密かつ高効率を追求するなら温度計や酒精計などを入手して神経質にやることになりますが、うっかり濃度90%を越えたら違法行為になりますのでご注意を。
「薄いと効かないんじゃないか?」と気になる方は、出来上がった溶液にイソジンを1滴垂らせば自作の手指消毒薬として十分なものになるかと思います。
法的問題など詳細に関しては上のほうのリンク先を参照してください。

 私は上記の方法で家庭や職場で使う分を確保出来ました。
いつでも必要な分だけ作れる安心感は、試してよかったなぁ…と実感しています。

 

※ 追記 ※

某サイトへの投稿時には具体例を出さずにボカしましたが、ここでは簡単に目安となる例をご紹介します。
アルコール度数40度の洋酒(ウォッカやジン等)はコンビニやスーパー等でも手頃なサイズが数多く流通していますので、これを例に挙げます。
鍋に洋酒を2本分注ぎ込み、蒸留出口に空になったビンを1本セットします。
セットした空ビンがちょうど満タンになったところで蒸留完了、だいたい濃度80%近くのものが1本分出来上がります。
スーパーで見かけるウォッカやジンは700~750mlサイズの物が多いですから、これらを使った場合、スプレー噴霧式のポンプボトル(1Lサイズ)に入れるのにちょうどいい量になるかと思います。
火を止めて鍋の温度が少々下がったところで鍋の蓋を開け匂いを嗅いでみてください。
ちゃんと蒸留が成功していればアルコール臭はほとんどしなくなっているはずです。

はじめに

きっかけは、武漢肺炎に伴う外出自粛要請によって生じた中途半端な空き時間でした。
今まで仕事や家庭で日曜大工レベルの作業を時折行ってきたわけなんですが、そのうちのいくつかをネット上に上げてみようかと考えたわけです。

で、いざやってみようと手を出してみたら…いやはや、不慣れなブログ作成に四苦八苦しております。
結果的に「空き時間を潰す」という目的は達せられてるので、よしとしましょうか。

他のDIY系のサイトの足元にも及びませんが、時折思い出した頃に文章を上げられたら…と思います。
よかったら覗いてやってください。